スカーレット

Scarlett (スカーレット) 初回版

Scarlett (スカーレット) 初回版

ねこねこソフト最後の作品。
自分はねこねこ作品はこれが初めてなのだけど(「銀色」とか「みずいろ」とか名前だけは知っている)、これだけちゃんとした話が書けるソフトハウスがこの業界を去ってしまうというのは口惜しい。ギャルゲは商売にはならないということなのだろうか。


で肝心のストーリーですが、自分の予想していたものよりもいい意味でかなり違っていました。プレイ当初から銃や軍隊があらわれるのでニトロプラス系のようなガチバトルものかと思えばそうでもなく、東京編では「ああ、無難な学園もの」かと思えばそうでもなく、決して荒事に持ち込まない淡々としたスパイ同士のやりとりがハードボイルドでたまらない。


政治的、軍事的、医学的な専門用語も多く出てくるが、そこは親切に用語解説機能がついている。軍事系に興味がなく「群青の空の向こう」の説明にめげた自分にとってはありがたい(笑。


自分としては完璧超人な九郎視点よりも、たとえダメな思考の一般人でも明人視点のほうが何が起こるかわからなくて面白かった。ほんとに明人、自分勝手でダメダメだけどね(汗。


ヒロインの出生や八郎の活躍が見られる2世代前の過去編も一つの作品として見られるほど物語が出来上がっていて、深み増している。ラストにこのエピソードが特に生かされていないのは残念。


ラストはかなりあっさり気味だが、そのあっさりさもこの作品らしいといえばらしい。でももうちょっとボリュームはあっても良かったのではないか。
ほぼ単一ルートなので予想より3倍近く早く終わった。



……これでねこねこ最後か。やっぱり寂しいな。チームは解散しても、このノウハウを生かしてスタッフさんが数人でも別のソフトハウスで再度活躍してくれることを望む。
うん。いい作品でした。