世界平和は一家団欒のあとに

世界平和は一家団欒のあとに (電撃文庫)

世界平和は一家団欒のあとに (電撃文庫)

柔らかな絵とは真反対のクセのある作品。

まず根本にヒーローものの「お約束」を逆手に取った話作りがされています。
ヒーローものに回復ヒロインは必須→
回復の最上級は蘇生→
蘇生はこの世の摂理を壊す邪法→
邪法はヒーロー(or世界)に滅ぼされる


双子の妹を以前に殺していることで「蘇生能力者殺し」の前例が示されており、
回復ヒロインが最上級候補である下の妹と、
弱いけど回復は使える妹の同級生、
という2人の可能性が提示されてる。


今回は蘇生者候補として妹のほうが挙がったが、
このルールだと妹が回復を制限すればするほど
今度は下級生のほうにレベルアップの経験値が与えられると考えられる。


まぁ、この結末は第二の蘇生者は出ないままの
続編ありきな先延ばし展開だったので、次があるならば、
蘇生者としてレベルアップしてしまったヒロインに対する
世界の粛正と主人公の行動をちゃんと描いて完結させて欲しい。



主人公の能力が程度の差はあれど「遠野志貴月姫)」を連想させすぎて良くないのと、
家族まとめて超展開に慣れすぎてて
「殺す」行為そのものに何の躊躇も無さ過ぎているのに読者からみて違和感を感じる。
「命を操る」という能力定義が「創生(命をつくる)」に対してあまりにも「直」すぎる(汗)。
せめて、もっと何の役に立つ能力なのか謎めかせるなどして
どんでん返しのようにさせるべきなのではなかろうか?
……「記号戦」という考えではアタリなのだけど。



そいえばモノクロ絵が妙にデジデジしてると感じたけど、
トーンのドットが「四角」なんだね。